第6回  ミュンヘン駅前

「わたしはモニカの母でゼナといいます」
「どうも、初めまして」

お母さん? 彼女の母親はミュンヘンにいるはずだ、広瀬は怪訝に思いながら、
挨拶をかわした。

「言づてがあれば、伝えておきますよ」
「いいえ、お構いなく。またかけ直しますので」

携帯を内ポケットにしまいながら、どういうことなのか、首をかしげた。
空からは白い物が降り始め、それと合わせるかのように落ち葉降りしきる並木道を
駅に向かって歩き出した。

Sバーンのインスブルッカー駅からUバーンに乗り換え、ダーレム駅で降りる。
そこから徒歩で5分程の所に広瀬の住んでいるアパートがあった。
アパートとは言えかなりの部屋を会社が借りているので、社宅と言った方がよいかも
知れない。

外見はいかにも古そうな石造りの5階建てだが、中はまったの新しく改装したらしく、
住み心地には満足している。広瀬が住むに当たっては、インテリアをそれらしくした。

部屋に入ると、すぐに靴を脱ぐ。年がら年中靴で過ごすヨーロッパの習慣にはどうしても
馴染めない。
本来なら上がり口の様な物まで欲しいのだが、マット一枚で外と内を分けるような工夫だ。

そこはすぐにリビングとなっており、ゴザ風のカーペットが敷いてある。
アジア雑貨、特に日本の物を扱う店から買った物だ。

周りのソファとの組み合わせが和洋折衷といった風だ。
右手にはダイニング、その奥にはトイレ、バスルームがある。
左手はベッドルーム。部屋の中央に置かれたベットはサイズか大きくて、快適であった。

もう一度、モニカに電話してみよう。

呼び出し音が鳴ったと思う間もなく、繋がった。

「ハロー、ヒロ?」
「うん、モニカ? 今どこ?」
「ミュンヘンよ」

もう帰っていたのか?でも何で。一緒に行くって話じゃなかった、、、

「さっき、母から聞いたわ、あなたから電話あったって」
「ああ、でもどうして先に」
「熱を出してしまって、、、」
「お母さんが?それは大変だったね」
「、、、」

モニカが説明しようとするのを遮って、広瀬が続ける。

「ああ、わかったから。こっちは休みが早めに取れたから、行ってもいいの?」
「もちろん大歓迎よ」

明るいつものモニカの声が返ってきた。そのあどけない顔と大胆な肢体が頭の中で
よみがえる。

「でも、連絡くらいして欲しいよ、どうしたのかと思った」
「あら、通じなかったわよ。だからカネダさんに言っておいたのよ」

しまった!慶子からの電話がうるさいので、電源切っておいたんだった。

「あれ、おかしーな。ごめんね」この件はサラッと流そう。

金田に連絡しておいた?あいつ、そんなそんな事言ってなかったぞ。って、
今はフランクフルトに行ってるんだったよな。それは後だ。

「早く逢いたいな」
「わたしもよ」

携帯越しのキッスというのも、変なもんだな。
話し終ってしばらくぼーっとローテーブルに置かれた水槽の熱帯魚を眺めながら、彼女の事を考えていた。


ーーーーー

いつもの薄暗い朝、寒さに身震いしながら、昨日やっておけばよかったと後悔した。
まあ、そう大した支度でもないが。

バックパックに何枚かの着替えを詰めて、広瀬は部屋を後にし、ツォ-駅に向かった。
クルーネックセーターにジーンズ、ワラビ-シューズ、コサック帽、ダウンジャケット、
といった出で立ち。
全部こちらに来てから買った物だ。

特にコサック帽は彼のお気に入りだ。
東欧から流れてきたのだろうか、路上で旧ソビエトのブリヤンスク第八親衛大隊懐中時計とか第五機械化軍団章とか売っている人達から手に入れた。
見た目より実用重視だ。

ツォ-駅は街の中心にあるとはいえ、中央駅のような重厚な感じでもなく、通過駅のような
シンプルな作りだ。
ICEの到着を待つ間にキオスクでホットドックとコーヒーを買い、ベンチで食す。

ベルリン、ミュンヘン間は約六時間。太宰治の「晩年」をじっくりと読むにはいい機会だ。
でも、景色も見たいし。久しぶりの列車の旅に子供のようにわくわくする広瀬であった。

と、間もなく、その洗練された車体がホームに滑り込む。
ホットドッグをゆっくりと食べ終ってから指定された号車に乗り込む。

座席はゆとりのある配置になっており、一人掛けの席もある。
少しクリスマスまでには日があるせいか、意外と空いており、電光掲示板で示される
予約無し席も目立った。

案内放送があったのか無かったのか、それにも気付かず、静かに列車はツォ-駅を出発した。


途中、のどかな田園風景を眺めつつ、単行本を読んでいたら、いつの間にか眠ってしまった。
コーヒーは効かなかったようだ。
でかいホットドックの満腹感に負けてしまったのか、朝が早かったからか、両方だろう。


やがて日が暮れた頃にミュンヘンに到着した。ゆっくりと駅構内に入ったICEは時間通りだ。
終着駅のように線路の終端に停車するところは、なにか風情があるな。広瀬はそんな事を
思った。
鉄骨とガラスで出来た構内は明るく近代的な雰囲気だった。

ホームに降りて進行方向に進むと出口だ。駅内のカフェテリアがすぐに目に飛び込んでくる。
車内で寝てしまったせいで、食べ物を口にする機会も無く、広瀬は空腹感を憶えた。

少し食べておこうかな、いや、到着時間は連絡してあるし、
正面の出口で待てとの事だったな。
カフェテリアを横目に見ながら出口へと足を進める。

しとしと降る雨を恨めしく見上げながら、出口脇の日さして待つと、
しばらくしてやってきたグレーのオペルから手を振るのが見える。モニカだな。

小走りに車道を横切り、歩道に回り込こむ。ドアを開け、バックパックを前に抱えて、
車に乗り込む。

「待った?」
「時間通りだよ」

バックパックを後部座席に放り投げて、
にっこりと満面の笑みを浮かべた彼女と軽くキス。

次第にそのしっとりとした唇を力強く押し付けてくるモニカ。不自然な恰好でギアを操作してしまいそうだ。あそこのギアも、、、

右手を彼女の乳房をそっと添えると、その柔らかい感触にあの日の事がよみがえる。
「むむっ、」
モニカも顔を上気させ、柔らかい舌を広瀬の舌に絡ませてきた。

次第に強くなる雨の音に後押しされるように、二人の行為も大胆になっていった。
むさぼるよ様なくちづけをしなが、広瀬の左手は彼女のスカートの下に伸びていく。
膝、太もも、と撫で回し、パンティに。

「穿いてない!、この女は!」こうなる事を予想していたのか、または期待?
あどけない顔とその淫乱さに広瀬の下半身は一層固くなっていた。

すこし後ろに頭を引いて、トロンとした目つきで、囁く
「ねぇ、いじって、、早く、、」

その言葉に許可でも得たように、動き出す広瀬の指。
自分のその部分をいい様になぶらせて、快感に酔いしれるモニカ。

広瀬の指が敏感な豆をとらえ、薬指の腹でこねくり廻す。
ぬるぬるとした愛液が流れ出て、指はもちろん、彼女のスカートまでも濡らす。

「はぁー、最高に気持ちいいわ」息継ぎでもするように口を離し、悶えるモニカ。

「ねぇ、くわえてくれよ、もう我慢できないんだ」

遠慮のない会話にも、にっこりに笑みを浮かべてうなずく彼女が愛おしい。
ジーンズを太ももの辺りまで降ろして、男性自身が天を向いている。

彼女のふくよかな唇がそっと先端の部分に覆い被さり、同時に舌で尿道をつつく。

「うっ」

しばらくそうやってから、次第に咽の奥まで彼の物を導く。そのストロークも次第に激しくなっていった。
捲れたスカートから覗く尻に手を廻すも、秘所には指が届かない。
しかし、別の所を刺激するには充分だが、、、

イヤイヤをするように尻を揺すりながらも、嘗めしゃぶっているところを見ると、
あそこの快感もまんざらではないらしい。

耐え切れなくなったのか、広瀬は彼女の額に手を当てて動きを停めようとする。
顔をあげた彼女はうつろな目をして、スカートをたくしあげ、助手席の広瀬にまたがろうとしていた。
彼もモニカの腰の辺りを支えながら、スムーズな移動を手助けする。

彼女は広瀬に完全に覆い被さり彼のの目の前には彼女のセーターしか見えない。
モニカは手を添えてその位置を確かめながら、固いものをぬるぬるした自分の部分に導いた。

「はうっ!」

ヘッドレストを掴んで激しく腰を振る。広瀬は動きを助けるように両手で尻を支えるように
しているしかなく、彼女の動きに圧倒されていた。

くちゅくちゅとモニカと広瀬の秘所が擦れあう音が車内に響く。
ルームミラーで出入いりする所が見えないかと思ってが、広瀬の位置からは無理のようだ。

土砂降りで外の視界が遮られている事が二人をその行為に没頭させていた。
モニカの締め付けが一段と強くなった時に広瀬も限界に達した。

「終るよ」
それに合わせるかのように更に締め付けとスピードが上がり、

「あはーぁ、いくぅー!」「くっ」

その声で広瀬の精子は彼女の奥深くに放出された。彼女のしがみつきが激しいすぎて、
窒息しそうな広瀬であった。


「わたしたち、こんなのばかりね、ふふっ」
ぐったりとしながらも、快感の余韻に浸るモニカ。

「今度はベットでゆっくりと、だろ? でも今晩はゆっくりと寝たいよ」

お互いにクスクスと笑いながら、身支度をして、彼女の家まで三十分のドライブを楽しんだ。
© 渡辺 田中 24
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