第4回  モニカ2

「大事って何だよ」

少し怪訝に思いながら、カチッ、マウスのクリック音が意外な程大きく人のいないオフィスに響く
「・・・」

しばらく呆然となる広瀬。と、その後には頭の中に血液がどんどん流れ込み、
色々な考えが駆け巡る。

ふと、人の気配で我にかえる。モニカが両手に何かを抱えて、扉に体を押し付けて
入ってきた。

「ヒロ、お腹空かない? 一緒にお昼、どう?」

今日もその髪を後ろに束ね、快活な笑顔を浮かべる。
淡い色のクルーネックセーターに黒の膝下丈のスカートが似合っていた。

「あっああ、ありがと!」
広瀬は急いでパソコンを閉じて、やや暗い顔を取り繕った。

「でも、休みなのにどうして?」広瀬は書類をデスクの引き出しに仕舞いながら言った。

「ふふっ、いいのよ、ヒロと食べたかったの」ちょっとおどけた様に肩を竦める。
その白い頬に赤みがさしたのは、単なる光の加減のせいか。

「ここじゃなんだから、リフレッシュルームで食べようよ」
モニカに近付くと、ライムの香りが爽やかな香水をつけている。

オフィスの隣に続く部屋に入り、ブラインドを開けると
ベルリンのオフィス街が一望の元に広がった。

北欧でザインのモダンな家具が窓から差し込む日ざしに良く映える。
ベンダーからコーヒーを注ごうとすると、、、

「待って。それ、美味しくないでしょ、これ、家で作ってきたわ」

モニカは30センチ程の細長いポットを厚布のバッグから取り出し、ウインクする。
長い睫がパチリと音をさせそうだ。

テーブルには各種のライ麦パン、チーズが所狭しと並ぶ。
それとさっきのコーヒーも、味気ない紙コップにではあるが、馥郁たる香りをなびかせている。

「まるで、ピクニックみたいだね」

広瀬がそういうとやや青みかがった目が子供っぽい輝きを見せた。
と、同時に少し寂し気な笑みも。

「子供の頃はよく週末には両親と郊外に出かけたわ。ヒロは?」
「ウチはおやじが忙しくてね、家族でなんてあまりないな。モニカが羨ましいよ」

コーヒーを飲むと、芳醇な香りも然る事ながら、口の中にまろやかなテイストが広がる。

「これ美味しいコーヒーだね」

我が意を得たりとモニカがうなずく。

「これは私のパパがブラジルから直接買い付けているのよ。お気に入りなの」
「じゃあ、よくブラジルを行ったり来たりしてるんだね」

「たまに帰ってきた時に逢ってくれるかな、、、」
「たまに?」

モニカは少し寂しそうに家族の事について話しだした。

「フランクフルトで輸入業をしていたパパは、忙しかったけど、決して私とママを寂しくさせる事はなかったわ。でも、コーヒー輸入の事業が軌道に載った時に突然、ママと別れたの。
私がギムナジウムを卒業するまえだったわ。
その時はもう子供じゃないし、ママは私にこう説明したの。
パパはブラジル女と暮らしているんだって。その時のママは憎んでいたわ、パパとその女を。
あんなに仲の良かったり両親がそんなになるなんて。本当に悲しかったわ」

モニカは少し涙目になっていた。広瀬はそんな彼女を手を握り、同情してみせた。

「ちょっと、場所移そうか」

背の高いテーブルから奥のソファへ、彼女の肩をそっと抱きながら歩く二人。

「今日は色々あるな、慶子の件といい、、、」
今日はもうヤメだと思いながら。

「そんな時に行った日本で私は、、、」

---- モニカの回想 ------

前に話したでしょ。

フジサワで。 ええ、そこの学校訪問と林間学校体験で剣道や日本文化に触れたり、
レクリエーションをしたり、本当に楽しかった。パパとママの事を思い出すまでは。

浜辺のコテージから波の音が聞こえたわ。そのせいかしら、何だか寝つけなかったの。
友達はホームシックだ、なんてからかってたけど、彼女はじきに寝てしまったわ。

窓から浜辺を見るとおいで、おいでをしている人がいたの。
月明かりに掘りの深い顔が見えて、それがアキトだったわ。え?珍しい名前?
アキヒト、アキヒコ、そうかも知れないけど、私にはそう聞こえたわ。

窓のカギを開けて降りて行くと、やっぱりそう。
彼は剣道で私に付いてくれて、世話をしてくれていたの。
何故か無口だったけど、優しい感じがしたの。


「眠れないのかい?」
「うん、あなたは」
「僕も。ちょっと浜辺を歩こうか」

二人で手をつないで歩くと松林が浜に突き出ている箇所があって、そこで
腰をかけて休んだ。

アキトは「かわいいね、少年団の中でも一番でしょ」
モニカは頬を赤らめた様に見えた。

面影が父親に似ていたアキトに少なからず関心があったモニカの心は踊った。
タンクトップに短パンのモニカを妖精のように感じたアキト。

静かに顔をよせあい、その可憐な唇をむさぼるアキト。
遠慮がちにではあるが、舌を絡めあおうするモニカ。

それが彼女の初体験だった。

その翌日、アキトは姿を見せなかったわ。
先生にも聞いてみたけど、病気で家に帰ったって。

わたしはパパにもアキトにも見捨てられたような気がして、
思い出すと悲しくなるのよ。

ーーーーーーーーーーーーーーー

その話を聞いて、広瀬はそのアキトという高校生に嫉妬を憶えた。
また、その男に体を許したモニカにも、怒りに近い感情が芽生えた。

「慰めてあげるよ」心の中とは裏腹に優しい言葉をかけながら、、、
「ええ、やさしくして」
恥じらいながら、そんな言葉を呟くモニカもいやらしい何かを期待していた。

涙目のモニカをしっかりと抱き締め、手をスカートの裾から差し入れる。
ストッキングの途切れる辺り、ガーターベルトと肌の境まで手が達した。

モニカは顔をあげると広瀬の唇に自分の可憐な唇を押し当てる。

パンティの脇から指を差し込むと、すべすべした感触に驚いた。
無毛なのだ。

広瀬はひざまずき、スカートを跳ね上げる。ソファのモニカは荒い息をつきながら、
顔をソファの背に押し付けるようにしている。

黒いガーターベルトと乳のように白い肌が、エロティックなコントラストをかもしだす。
パンティをずり降ろし、股を大きく広げる。モニカ自身も何かを期待するように、、、

腿の付け根からなめしゃぶり、全く毛のないその部分に達した広瀬の舌。
クリトリスをむき出し、ちゅうちゅうと音をだして吸う。
「日本人ではおれが二人目か」思い出してしまうと、より力を込めてこね上げる。
モニカはその快感に愛液を垂れ流し、獣のように呻く。

「うぅ、、いい」

我慢できなくなった広瀬はモニカのセーター、ブラジャーも一緒にたくしあげて、
豊満な乳房を揉みしだく。

「乳暈がでかいな」モニカの耳に囁くと
頭に両手をささえて自分の胸に押し付けてきた。
乳暈をべろべろと嘗め回しながらも、指は強いストロークで、彼女の陰部をかき回している。

「はぅーん」眉間に皺を寄せながら、腰が自然と前に後ろにと快感を求めて、動いていた。

広瀬はモニカの手を既に出してあった「物」を握らせ、さするよう指示する。
目を閉じながらも、従順に従うモニカ。

そんなしどけないモニカに覆い被ぶさり、広瀬の物はモニカの濡れた陰部へと入って行った。

「あ、ああ、あ、突いて!」

広瀬の腰に手を廻しながらモニカは叫んだ。
それに答えるように、広瀬の物は愛液でピチャピチャと音をさせながら、激しく動いた。

「はぁ、はぁ」
荒い息をついて、広瀬のものをぎゅっと締め付けてくるモニカのあの部分と、
少女時代の彼女がだぶってみえた。その事で異様に興奮してしまった広瀬は達してしまった。
熱い精液を1度、2度と波の様にモニカの中に送り込みながら。

モニカの隣にどっと腰を降ろし荒い息を整える。
彼女も放心したように、口からよだれを垂らしながら、股を大きく開いたままだ。
暫くすると、その陰部から広瀬の精液か滴り落ちてきた。

まだその荒い息に豊満な乳房を上下させながら、モニカは薄く目を開けた。そして
熱烈なディープキッスをかわしながら、照れたように顔を見合わせた。
「とっても良かったわ」
「俺も」

ここがオフィスだった事に気づいたように、いそいで身繕いする二人。

「ねぇ、ミュンヘンに行かない?」突然のモニカの申し出に広瀬は戸惑った。
「ミュンヘンて?」

このソファと床の汚れどうしょう。女は図太いな。広瀬は急速に覚めていく自分が
デリカシーのない男と思われるのが嫌なので、話を合わせた。

「両親が別れてからは、ママはフランクフルトを引き払ってミュンヘンに住んでいるの。ヒロはクリスマス、日本へ帰るわけじゃないでしょ。だったら家に招待するわ」
「うーん、それもいいね。でも家族との水入らずを邪魔したくはないし、、、」
「遠慮しなくてもいいのよ。ママに紹介もしたいし」

身支度を終えたモニカとくちづけを交わして別れた広瀬はつぶやいた。

「なるようになれ」
冬の夕日を浴びて、モップで後片付けをする彼であった。


二日後、広瀬は野村と年末年始の勤務体制について話し合っていた。

「あー、お前は年休、休出が消化し切れてないから、クリスマス前に休みに入ってくれ」
「いいんですかぁ。かなり工程きついですよ」
「いいんだよ、金田にやってもらうから。おーい、金田君」

君付けで呼ぶ時はなにかある時なので、金田も神妙な顔つきだ。

「はい。なんでしょう」

ーーー

「まあ、しょうがねえか」

ベンダーの前でコーヒーを飲みながら金田と広瀬は年末の予定について話していた。

「誰と組むの」
「いや、野村さんの話だと、ヨアヒムと都合をつけるから、だって」
「でも、ヨアヒムはクリスマスまでだろ」
「まあ、しかたないよ、そこは大和魂で乗り切るしかないよな」

金田はおどけた顔をして、紙コップをゴミ箱に捨てると、にやりと笑い、

「どこ行くんだよ、結構長い休みだろ」
「んー、ちょっと観光かな」
「またまたぁ。モニカと、って事はないよな。年末に一人じゃ彼女も可哀想だろ」

相変わらず、女の事には嗅覚の鋭い金田にどきりとする広瀬。
適当に話題を切り上げて、デスクに向かうも、やや迷いがあった。

「アンナ、モニカ、、、」もちろんの慶子のあの話も、、、

そして広瀬の下した決断とは!
© 渡辺 田中 24
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