第24回  機内で

到着した成田エクスプレスからは旅行客が次々と大きな荷物を抱え、
転がしながら、吐き出される。その中に慶子もいた。

細みのジーンズにカーキ色のダウンジャケット。
トラベルバックをキャスター付にして引っ張りながら、エスカレーターに乗る。

「あーん、大丈夫かしら」

検問所でパスポートを見せ、受け取るが早いか、走り出した。

カードラウンジでお茶でもしたかったが、搭乗時間が近付いていてそれは無理の
ようだ。

チェックインカウンターも旅行シーズンだけあってかなりの混雑ぶりだ。
グランドオフィサーに事情を説明すると、
ビジネスクラスのカウンターでチェックインさせてもらえた。

更に激混みの出国審査を抜けると、猛ダッシュ。
ファイナルコールの放送も鳴り響く。

「ふー、助かったわ」

あらかた着席した乗客の視線を感じなくもない。
ちょっと頬を赤らめてうつむき加減で自分の席を捜す。

座席配置は2,4,2で比較的ゆったりした雰囲気。彼女の席は窓側であった。
通路側には歳の頃は三十前後、スーツを着た会社員といった風情の男が座ってい
た。
機内誌を読んでいる。

慶子はトラベルバッグとジャケット頭上の収納スペースに入れようとするが、
既に周りの乗客の荷物で満杯だ。

困っていると、その男が声をかけてくれた。

「あ、荷物、入りませんか。ここはちょっときついかな。こっちはどうですか」
「どうもです」

仕事でドイツかしら? 広瀬とオーバーラップする瞬間があった。
二つ程後方の収納スペースに荷物を押し込んでもらった。

座席に落ち着くと、改めてお礼を述べた。

「すみませんでした」
「いえいえ、いいんですよ」

男は微笑んで会釈を返したが、その目はセーター越しの慶子の巨乳を見逃さなか
った。

ーーー

予定より十分程遅れて離陸した。
外の光景を見ようと窓際に目を向けると、彼と視線があった。

「いつも離陸する時は緊張しますよ。慣れないですね」
機内誌を座席前のポケットに仕舞って、慶子に話し掛けてきた。

自分の緊張した様子を見られたのかと勘違いしたようだ。
何かその口調が体格の良い男にしては弱々しく、おかしくなった。

「ふふふ、あら、ごめんなさい。そういう人には見えなかったもので」
「いやー、ちょっと恥ずかしいですね」

それからは話が弾んで、長時間のフライトが楽しいものであった。

食事の後は、昨晩の寝不足やあたふたした今日の移動で疲れていたのか、
いつの間にか眠ってしまった。

ーーー

ぬるぬるとしたものを感じたのは周りの照明も落とされた頃だった。
ブランケットをかけられた慶子の体をまさぐる手があった。

あー、感じる。あそこが熱いわ。

ぴっちりとジーンズの股間を撫でさするのは隣の男であった。
気付かないと思っているか、セーターの裾から手を差し入れて、
ブラジャー越しに手にあまる大きな乳房を揉み始めた。

中途半端だわ、もっと強く。

慶子は淫らな快感を次第に押さえる事が出来なくなっていた
© 渡辺 田中 24
[Back To Top]
inserted by FC2 system