第2回  アンナ

「ハーイ、ひさしぶりじゃない?」

歩道から少し奥まった建物の壁に寄り掛かりながら腕組みをするその姿が通り過ぎる人とは
対照的な印象を与える。

アンナの横顔は人待ち顔でやや不機嫌そうにも見えたが広瀬に気が付き、ぱっと明るくなった。
それでも特にはしゃぐわけでもなく、ゆっくりと近付いてくる。

「まあ、なかなか忙しくてね。そっちはどう?」

よくないわ、とでも言うように、大げさに両手を広げ肩の辺りでないないをしてみせた。
今日は黒の革ジャンの上下に身を包んでいる。その大きな胸がやや窮屈そうに収まっている。

「寒くないか、こんな夜は」
「家でゆっくりしたいけど、稼がなくちゃ大変だわ」

悪戯っぽくウィンクをして、広瀬の腕に自分の腕をからめてきた。
香水も一緒に広瀬にまつわりつくようだ。

「今日は時間あるの?」
「ああ、いいんだろ?」
「当たり前じゃない、ふふっ。あたしがここに居るんだから。さっ、行きましょう」

アンナはさっと寄り添ってその金髪を広瀬の肩に押し付けるようにしながら腕を引っ張り歩き出した。
広瀬は腕をアンナの腰に廻し、手を添えた辺りの肉付きに期待を膨らませた。股間も。

ここク-ダム通りはベルリンの繁華街として戦前から栄えていた場所である。
全くの戦後生まれである広瀬にはその事を聞いていもピンとは来なかった。

しかしここからさほど遠くない所にあるカイザー・ウィルヘルム教会は第二次世界大戦末期の爆撃の後を生々しく残したまま建っており、過去の歴史について憶いを馳せることもできる。

洒落たブティックやカフェ、こじんまりしたホテルもあるこの通りはいつも人で賑わっている。
車道側にも高級な時計や靴のショーケースが数メートル間隔で配置されており、行き交う人の目を楽しませる。
強化ガラスで出来ているこれを叩き割ろうとする傷が絶えないのが、少々興醒めではあるが。

その通りの角に歩道から少し奥まった所にある建物、外見上特に変わった様子もない石造りの外観、へ二人は入って行った。

木の大きな扉を開けて入ると、広瀬は腰に廻した手をアンナの尻に廻し、ねっとりと撫で回す。
弾力に富むその尻が革のパンツと相まって広瀬の手を滑らせる。滑った先はアンナのアヌスの辺りを少し突いてみる。

アンナは、ぱっちりとしたブラウンの瞳で広瀬を見上げると、廻した腕をほどいて、広瀬の股間をまさぐってきた。

「もう、大きいじゃない」

嬉しそうに声をあげて、更に力を込めてぎゅっと握ってくる。その刺激にますます股間が大きくなる広瀬であった。

「お前も濡れてきてる?」
「バカ」

二人で笑いながら階段を2階まで進む。
踊り場に立つと正面に2メートルはあろうかと思われる扉があり、左手の奥には男女が酒を飲みながら談笑している姿が見る事ができる。

ーーー 回想 ーーー
アンナとの出合いはベルリンへ来て間もない頃だった。
慶子の事を考える度にむらむらした欲情が込み上げてきて、夜の街をうろついていた時だった。

「ジャパン? コリア?」

愛くるしい金髪の女が声をかけてきた。やや肩にかかるくらいで快活な印象を受ける。
顔の各パーツの作りも華奢で、長いまつげがぱっちりとした目を強調していた。
その所為かどこかフランス人のようにも見えた。二十二、三歳くらいか。

「ジャパンだけど」広瀬はおずおずと答えた。
「ちょっと、遊んでいかない?」

ミニのスカートに膝丈のブーツを履いて、上にはダウンジャケットを羽織ってはいた。
胸元はいやらしく開いてその白い胸の谷間を見せていた。

こういう職業がある事は先にベルリンに来ていた金田から聞いて知ってはいた。しかし、自分から声をかけるのがどうも恥ずかしくて、躊躇していたので、彼にしてみれば好都合だった。

半ば引っ張られるようにその建物の中に入ると、キャバレーのようになっており「これは高い酒でも飲まされて、有り金をまきあげらける!」と青ざめ、その時は腕を振りほどいて逃げ帰ってしまった。

しかし、その豊満な胸元、それとアンバランスな可憐な顔が忘れられず、数日後はまた来てしまった。
その時は別の女が立っており、システム、料金等をしっかりと確認しておいた。

何日か後にアンナとは会う事が出来た。この前を事を詫び、楽しいひとときを過ごしたのであった。
それからは周期的に遊びに来ていた。

ーーー 回想終り ーーー

踊り場すぐ前の部屋は扉も大きいが、天井もそれに比して高い。
キングサイズのベッド、クローゼット、洗面台しかないのも、やるだけには十分だ。

広瀬はトレンチコートを脱いで彼女に渡し、ベットに寝転がった。天井には南国にでもありそうなファンが取り付けてあった。彼女も革ジャンを脱ぎすて、黒のタンクトップ一枚の恰好で広瀬におおいかぶさる。

「この前は待ってたのに来なかったわね」

にっこりと微笑み、その手でゆっくりと広瀬の股間をまさぐりながら、目をしっかりと見て尋ねた。

「お金ないしなー、そうそう来れないよ」
上着のポケットから財布をだし、紙幣を数えながらアンナに渡す。
「まあ、いいわ、今晩はラッキーだわ。楽しみましょうね」

広瀬の言葉を間に受ける様子もなく、ベッド脇のサイドボードに置いたハンドバックにカネをしまい
、軽くくちづけを交わした。

同時にアンナは笑みを浮かべたまま、楽しそうにズボンのチャックに手をかける。
すぐに物を出す様に見せ掛け中に手を入れてボールを大きさを確かめる様に撫で摩る。

「今日も堅いわァ」そのまま顔を広瀬の股間に近付け、ゆっくりと引き出す。

これから味わうであろうそれを触覚と視覚で確認しているようだ。
髪を掻き揚げて物をくわえるその顔を見ようとして気がついた。

「生え際が少し黒くないか?」
「ああ、これ?、染めてるのよ、金髪に。ホントは栗色だけど、金髪の方が客がつくみたい」

男はおしなべて金髪がお好きみたいだ。広瀬はそんな事を思ったが、栗色の髪のほうがアンナ
にはしっくりくるのではないかとも思った。

「あぁ、堅くていいわぁ、これ」
金髪を揺らしながら、しゃぶりつくその姿に、早くも逝きそうになっている広瀬。

腰を突き上げると咽の奥まで入れてくれるのは最高に気持ちが良い。
これだけでもう既に耐え切れなくなってしまう。

アンナも気分がでてきたようで、ぴっちりとした革ズボンを脱ぎ捨てると、ティーバックの黒いパンツ一枚になった。白い肌とのコントラストがそそる。

何も言わず、尻を広瀬の顔に持ってきて、フェラチオを続行する。彼女も舐めて欲しいようだ。
広瀬はそのティーバックの股間部を脇にずらし、アンナの陰部をむき出しにした。

処理をして陰毛のないその部分を舐めあげると、獣のようなうめき声が彼女の口から漏れた。

「いいわ、もっとしゃぶりあげて」しじくじくと愛液が流れてきた。
舌が疲れてきたので、中指を出し入れする。

「もっとはやく!」尻を押し付ける勢いに広瀬も答えようと力を込めてその陰部をこね繰り廻した。
「ああ!最高よ」

我慢できなくなったアンナは眉間に皺をよせながら、広瀬に跨がってきた。パンツをはいたまま、その部分を露にして広瀬の堅い物を自ら引き寄せながら。

アンナの陰部はぴっちりと広瀬の物を包み込み、上下に激しく出入りする。
横にずらしたパンツが広瀬の物に当たって少し変な感触だ。

タンクトップの上から豊満な胸を揉みながら、大股開きで髪を振り乱すアンナの可憐な顔に広瀬は至福の時を感じる。下から見上げる顔には少し赤みがさしている。

「あぁ、もっと強く! もっと!」

今度は広瀬に覆い被さり、いやらしく舌をからめあいながら、お互いの腰を突き動かす。
グチュグチュと擦れあう音が一層二人の情慾を燃え上がらせる。

「後ろからして!」

アンナはティーバックを脱ぎ捨てて、真っ白な尻を突き上げるようにベットに横たわる。
広瀬もここでズボンを抜いだだけ、上着のまま、アンナに乗りかかった。

パン、パンと打ち付ける音が大きくなるにつれ、アンナのうめき声も次第に大きくなる。
愛液で濡れて光る男根が出入りするすぐそばにある、もうひとつの穴、アヌスを指でこねくりまわす。

「あぁーん!いい!」

こっちの方にもそのケがあるようだ。次はここをいただく事にしよう。
広瀬はそんな事を考えながら、力を込めてくびれた腰を掴かむ。

しだいに陰部の締め付けがきつくなり、広瀬はもう我慢が出来なくなった。
「いくよ」アンナの背に体を預け、耳もとで囁く。

快感に酔いしれたその顔を横に向け、舌を差し出すアンナ。それをしゃぶりながら、
広瀬はフィニッシュを迎える。

二つの塊がしばらくはベットの上で動かず、荒い息だけが部屋の中に響いていた。

「あーあ、上着を脱いでやればよかった、汗でぐちゃぐちゃだ」
「ふふふ、日本人てせっかちなのかしら。わたしは満足よ」

寄り添いながらしばらく快感の余韻を楽しむ二人。アンナは広瀬の股間を弄んでいる。
手は自分の愛液と広瀬の放った精液でべとべとだ。

その手のひらを長い舌で嘗め取り、さも美味しい顔をするアンナ。

「うまいのか?」
「ふふふっ、サービスよ、淫乱な感じでしょ」
本当の淫乱ではないのか。男としては理想の女だな。天井を見上げながら広瀬は思った。

「もう、一回する?」
「もう打留めだよ」
アンナは少し残念そうな顔をしたものの、頬にキスをしてくれた。

広瀬は帰り際に何気なく聞いてみた。

「クリスマスの休みどうするんだい?」
「別にこの仕事に休みなんてないわ。かえってお客が増えるし、稼ぎ時よ。あなたは?」

広瀬はまだ予定は立っていなかった。

「特になし」ただ慶子からは気になるメールも来ているのだが、、、
「ふーん、じゃあわたしの家でもくれば。歓迎するわよ」
「え、いいの?」
「本当はゆっくりしたいしね、娘とも」
「娘? 子供いたんだ!」
「これ、携帯の番号だから。気が向いたら電話して」

「それじゃ」
軽く頬を合わせてアンナと別れた。

休暇はアンナとまったりとできるなんて、願ってもない。
下半身の相性もいいようだし。
「いいなぁ、あっ、でも子供が居るんだよな、うーん、ま、いっか」
先の事は深く考えない広瀬であった。

ふっと笑みを浮かべた顔を道行く人に見られた気がして、恥ずかしくなった。
足早にこの場を去ろうと、顔をあげたその視線の先に見覚えのある顔が、、、

モニカもこちらに気がついたようだった。
© 渡辺 田中 24
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