第12回  羞恥心

アルテ・コナピテークの堂々としたベネツィア風ルネサンス高級建築を背に、
ゼナの肩を抱きながら歩く広瀬。

アルプスを越えれば太陽輝くイタリアだが、思いのほか今日は寒い。
内陸に位置するミュンヘンの寒さを実感した。

「寒くない?」白い息を吐きながら優しく気づかうゼナ。
「大丈夫だよ、君がいるからね」

俺も歯の浮くような事が平気で言えるなー。それもこのsituationの為せる技か。
いや、ヨーロッパではこんなもんだろう。

その言葉に歩みを止め、広瀬を見つめながら、にっこりと微笑む顔が愛らしい。

テレジアストラッセに出てしばらく歩く。この寒空だがトレーニングウェアに身
を包み、
息を切らせながら走る若者とすれ違う。

暫くするとトラムの停留所が見えてきた。ベンチには買い物袋を抱えたおばあさ
んが寒そうに
待っている。

反対側の端に二人で座ると体を預けてくるゼナに、どきりとした。

「ちょっと照れるな、見られてるよ」
「ふふ、別に変じゃないでしょ。私達は恋人よ」

広瀬の様子におもしろがってますます体を寄せてくるゼナ。
彼女は肩にかけた彼の手をとって自分の腰にまわさせ、
コートのポケットに手を入れる様にした。

すっと差し込むと、ポケット部からそのままゼナのスラックスに触れる事ができ
る。
そして、腰の脇にあるファスナーに手が触れた。

潤んだゼナの眼が何を求めているか広瀬はすぐに分った。
スラックス脇のファスナーは降ろして、更に手を差し入れると、すべすべとして
肌に触れる。
ノーパンであった。

奥の方に指を伸ばすとすぐにじゃりじゃりとした陰毛に触れた。
端から見ていると、恋人同士が寄り添った微笑ましい姿であろうが。

男が傍にいれば淫乱な心を押さえる事が出来ないゼナのどん欲な欲求が
広瀬をも巻き込んでいくのであった。いつでも、どこにいても。

顔をよせあって囁く。
「窮屈だね。指が届くかな」
「伸縮性があるからだいじょうぶよ」

広瀬の中指が茂みを掻き分けてその中心に少しづつ近付く。
と、湿り気を帯びた領域に辿り着いて、心無しか動きもスムーズになった。

くりくりとした丸い物が襞の間で濡れている。
そこを広瀬の指が丹念にこねくり廻す。

「ふぅっ!」

さすがに感じているようだ。
眼を閉じて広瀬の胸により一層顔を押し付ける様にして声を絞り出す。

更にすすめると、その幾重にも折り畳まれた襞のぬちゃぬちゃした領域に達した
。
そこで指を折り曲げると底知れぬ沼に吸い込まれるようだった。

ちゃぷちゃぷと音を起てながら、次第に指の動きが激しくなっていく。
暖かい愛液が彼の指をぐちょぐちょに濡らす。

「くっ!」

閉じた眼を開いて喘ぎをこらえながら、こちらを見るゼナの顔は秘所から伝わっ
てくる喜びと
車や人が行き交う場所での羞恥心がない交ぜになっていた。
© 渡辺 田中 24
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